10年振りに大雪が降った舞鶴。通学路や生活道路の雪掻きは誰がするの?雪捨て場の開設は?

こんにちは。舞鶴市議会議員の鴨田秋津です。

ご報告が遅れましたが、3月9日(水)に一般質問を終えました。
下記の2項目について質問。

・1豪雪地帯における持続可能な対応について
・2中学校における部活動改革について

それぞれの項目について質問と質問に対する答弁を抜粋して列挙します。
今回は「豪雪地帯における持続可能な対応について」について書きます。

今季は久しぶりに良く雪が降りました。
積雪深は12月として観測史上第1位で、全体を通しても観測史上第4位の71cm(第1位は平成24年の87cm)でした

 皆さん、うんざりしながら雪掻きに明け暮れた年だったのではないでしょうか。除雪や排雪のことでPTAや自治会の方々まで幅広く要望や相談を受けましたし、苦情もお受けしました。そういったことで、大雪時の各種対応について多くの課題が見えましたので、次の冬に向けて整理しておくために質問しました。

質問要旨は下記の通りです。

1  豪雪地帯における持続可能な対応について
  ⑴  除雪に係る予算の考え方について
  ⑵  市道の除雪について
  ⑶  通学路、生活道路など克雪に係る自助・共助について
  ⑷  雪害時の危機管理について

(鴨田)
 世界有数の豪雪地帯である我が国では、豪雪地帯対策特別措置法に基づき、「積雪が特にはなはだしいため、産業の発展が停滞的で、かつ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域」を豪雪地帯に指定。
更に積雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著しい支障を生ずる地域」については特別豪雪地帯に指定している。
日本海側を中心に実に国土の約51%が豪雪地帯と位置づけられており、舞鶴市も「豪雪地帯」に指定されているがまずは道路除雪費について聞く。豪雪地帯に指定されていることにより、除雪作業の委託費などが国から交付されているが、道路除雪に係る予算編成について、市の基本的な考えをお尋ねする。

(田中建設部長)
 道路除雪の予算編成については、令和3年度の当初予算において、降雪状況に関係なく必要となる除雪の準備費として、除雪機械の借り上げや事前点検、凍結防止剤購入などで約3,500万円を見積もるとともに、毎年降雪の状況が変わり予測することが出来ない除雪作業については、除雪対象路線全線2日の除雪と対象路線の凍結防止剤散布を30日と想定した、委託料1,200万円、併せて大型除雪機等の購入費3,500万円の総額8,200万円を予算計上している。

(鴨田)
 次に道路除雪費の補正について聞く。本市では枠組み予算を採用しており、一定の枠組のなかで、道路除雪費が予算化されている。補正予算を乱用することは、財政民主主義からいえば望ましくないが、当初予算を超過した際の道路除雪の対応についてお尋ねする。

(田中建設部長)
 除雪は、市民の生活に直結する作業であることから、必要な費用は、補正予算を組み対応している。今年度につきましては、当初予算の8,200万円に新たに9,600万円を追加補正し、総額約1億8千万円となる補正予算案を、本定例会にてご審議いただく。

(鴨田)
 冒頭に基礎的な点をあえてお聞きしたのは、想定以上に雪が降って当初予算を超過して、途中からお金がなくなり、除雪が出来なくなってしまうのではないか。そのような声お聞きすることから確認した。
 次に、道路除雪の出動について確認する。本市は積雪がおおむね10cmを超えたとき通勤・通学車両や緊急車両の通行に支障がないよう、国・府の作業と連携して実施している。道路と言っても国道、府道、市道等がある。市は市道を除雪することとしており、除雪の対象路線は市のホームページでも公開されているが、すべての市道を除雪対象としているわけではない。除雪を行う、行わない路線の判断基準は何か。

(田中建設部長)
 市が業者に委託して大型除雪機により除雪している路線は、バス路線や、交通量の多い幹線道路、集落を結ぶ重要な道路、福祉施設などへのアクセス道路などを対象としている。
周辺部で、人家が連坦していない上、除雪頻度が高く、人力のみでは困難と思われる地区には小型除雪機を貸与し、地域の皆様にお世話になっている。

(鴨田)
 バス路線や交通量の多い道路を優先的に行っているとのことだが、通学路や生活道路などを除雪しない、(またはできない)理由は財政上の問題か。除雪業者、つまり担い手不足の問題か。

(田中建設部長)
 舞鶴市道は、約3,000路線、876キロメートルあり、その内の92路線113キロメートルを大型除雪機で27業者に委託し除雪しており、また、96地区に小型除雪機125台を貸与し、230路線約100キロメートルを地域の皆様にお世話になっている。
 大雪になった場合には、午前3時から一時にこれらの除雪機がフル稼働することとなり、他路線の除雪を行うことは困難な状態となる。市街地の生活道路については、人家が連坦しているとから、沿線の方々に除雪のご協力をいただいている。

(鴨田)
 すべての道路を行政サービスで除雪することは困難であることは一定理解する。そこで次に共助についてお尋ねする。生活道路や通学路については、地域の方々や保護者が参加し、雪掻きを行ってください。これが舞鶴市のスタンス。しかしながら、共働き世帯の増加、地域の高齢化、地域コミュニティーの希薄化など、明らかに昔と比べて雪掻きをする人が少なくなっている。善意の一人が何十メートル、何百メートルと一人で雪を掻いていただいている。そんなことがあちこちでおこっているこのような現状を市は課題として認識しているか。

(田中建設部長)
 高齢化で雪かきが出来ないというご意見を多くお伺いしているが、通常の積雪の場合は、出来る限り地域の方にご協力をお願いしたい。また、平成24年のような災害級の豪雪となった場合には、独居高齢者世帯等へ市職員による除雪支援チームを組んで、除雪に当たった事例もあるように、その状況に応じて適切に対応したいと考えている。

(鴨田)
 高齢化、コミュニティーの希薄化など地域の状況が変化しているため、除雪を誰がどこまで行うのか、どこまで公費を投入していくかについて、検討する時期にきているのではと考える。しかし住民がやってきたことを仮に今後は公助で行うのであれば、当然、除雪に係る経費が今以上に増えることになり、長期的には住民税等の金銭面での住民負担を押し上げる要因になってくる。共助について議論するべきではないか。

(田中建設部長)
 大雪になると自然災害の一つであるので、市だけで対応するのには限界があり、これまで同様に自治会や、PTAなど、各種団体の皆様と協力し、対応しなければならないと考えている。

(鴨田)
 自助公助については国も問題視していて、豪雪地帯において将来を見据えた方針の策定と、持続可能な除排雪体制の整備等に取り組む自治体を支援する考えから、昨年新たに「豪雪地帯安全確保緊急対策交付金」創設している。
市町村単位で「地域安全克雪方針」を策定する際に策定費用を全額補助することと、策定した方針に沿った例えば、資機材の購入や要援護世帯での屋根雪下ろしなどの試みに対し、経費の半額を支援するスキーム。策定を検討しないか。

(田中建設部長)
 国の「豪雪地帯安全確保緊急対策交付金制度」は、豪雪地帯における屋根の雪下ろしなど、宅内の除排雪時の死傷事故が多発していることから、創設されたものであり、基本的には通学路や生活道路の除雪に要する経費を補助対象とすることはできないとなっている。
 当該交付金による支援メニューは、要援護世帯の屋根の雪下ろし、アンカーや除排雪のための資機材の購入、安全講習会の実施、雪下ろしや除排雪の担い手の育成などとなっている。
 本市では、屋根の雪下ろしが必要となるまでの積雪は稀であり、当該交付金事業の「地域安全克雪方針」については、現在のところ、策定する必要はないものと考えている。

(鴨田)
 次に行政の発信について。
舞鶴市は降雪、除雪に関する行政からの発信がなさすぎ。例えば地域のごみ集積場所。本市のごみ収集は自治会での集積を基本としているが、広いごみ集積場を誰が雪掻きをするのか。そもそも予定通り収集運搬が行われるのだろうか。行政からは自治会に対しても何の連絡もなく、年末だったこともあり地域が大混乱した。
 通学路についても同様。例えば私の小学校区では、今年度の取り組みとして降雪が予想される前日には、学校とPTAが連携し、全保護者に対して、通学路に関する雪掻きのお願いをメールで発信する試みをした。経費も手間かからないが、メールが入ってくることで保護者の参加意識が高まった。
こういった除雪への参加意識を促すことなど、除雪はすべて建設部任せではなく、地域づくり支援課や教育委員会、広報部なども連携して、自治会やPTAなどに対して発信を促す。すぐにでも取り掛かれることではないか。

(田中建設部長)
 各地域の皆様には、さまざまな工夫のもと、身近な場所の除雪に取り組んでいただいており、心からのお礼申し上げる。市では、除雪作業への協力と参加を促すため、例年、広報まいづる12月号により、自宅や店舗前の歩道など、身近な場所の除雪に協力いただけるようお願いしてきたところである。
 また、今後もメール配信サービスなどで、気象情報や除雪作業に伴う通行規制情報など、必要に応じて、適切な情報発信を行ってまいりので、引続き市民の皆様のご協力をお願いしたいと考えている。

(鴨田)
 最後に危機管理の観点で質問する。今シーズンのように数年ぶりに大雪が降った場合に、なぜまちが混乱するのか。それは各種対応の基準が明確ではないから。例えば、今季は雪を捨てる場所がないなどの苦情も多く聞いた。10年前の2012年に積雪87㎝を記録した際には、雪捨て場を市内に2か所設置したが、今回はなぜ開設に至らなかったのか。これには根拠がないはず。
 積雪何㎝を超えたら捨て場を開設するのか。高齢者施設等の除雪、独居老人や除雪困難者への支援などは必要ないのか。どのような状況になったら自衛隊派遣などを要請するのか。危機管理マニュアルを作っておく必要があると思いうがいかがか。

(田中建設部長)
 雪捨て場の開設や、除雪困難者への支援、自衛隊の派遣要請等については、積雪深のみを基準として、地域防災計画等に、事前に、一律に定めておく考えはない。
 災害対策本部等において、積雪状況や今後の気象予測、市民生活への影響等を総合的に考慮し、適切に判断してまいりたいと考えている。

(鴨田)
 雪が降ったその日だけでなく、その後の気象状況も勘案して決定するため、指標などを作ることは困難なのは一定理解している。
ただ実際に雪を捨てる場所がなく、多くの方が困っていたのは事実。市が具体的な対策を取らなかったことは事実。市では、川や側溝に雪を捨てることは認めていない。市民からするどうしたらいいのという話。

 何㎝ならこうするというようなマニュアルではなく、大雪の場合にはこのような困りごとが市民から出てくる、そのために対応する方法としてこんなことが考えられるというようなマニュアルを事前に準備することはできないのか。初動対応に必要じゃないかと思うが、再度お聞きする。

(田中建設部長)
 過去からずっと雪が降っており、豪雪だった平成24年の際も情報を共有して、今も残してある。今年もそうだが、毎年雪の季節が終われば総括している。雪捨て場についても、除雪シーズン前に用地を確保し、いつでも対応できる準備はしている。あらためてマニュアルというものではないが、市全体で除雪に取り組んでまいりたい。

全体を通した動画はこちらをご覧ください↓