中学校の部活動改革。舞鶴は全国に先駆けてモデル市として実践研修に取り組んでいます。

んにちは。舞鶴市議会議員の鴨田秋津です。

3月定例会でおこなった一般質問です。前回の「豪雪地帯における持続可能な対応について」に続き「学校における部活動改革」について書きます。

質問要旨は以下の通りです。

中学校における部活動改革について
   ⑴  令和3年度のモデル事業対象となった各競技の成果について
 ⑵  教員の働き方改革と地域指導者の確保について
   ⑶  生徒にとっての地域部活の成果について
   ⑷  教育委員会の枠組を越えた行政の連携について
   ⑸  スポーツ産業の創出と持続可能な部活動との連携について

部活動改革とは

文部科学省は「令和5年度以降、休日の部活動を段階的に地域に移行していく」との方向性を示しており、教職員の働き方改革から端を発しています。要は休日の部活動を地域の人材に任せて、教員が関わらなくてもいいように整備にしていくということです。

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⑴  令和3年度のモデル事業対象となった各競技の成果について

(鴨田)
 京都府では、休日の部活動の段階的な地域移行について、実践研究を事業化し、まずは先行的に実践することで課題などを検証するために、舞鶴市と京丹波町がモデル地域に選ばれ、令和3年度から取り組んでいる。さて、本市では今年度、陸上・剣道・柔道を対象競技として選定したが、まずはこの3競技を対象として選定した理由を尋ねる。

(秋原指導理事)
  陸上・剣道・柔道を対象とした理由として、個人種目であることや学校の部活動顧問が連盟や協会に所属し活動していること、さらには、これまでから連盟主催の試合や合同練習会を実施している実績があり、基盤が整っていることから選定した。

(鴨田)
 次に、各競技それぞれの実績をお聞きする。コロナ禍であったため、十分に実施できなかっと思うところだが、それぞれの競技について実施回数などの成果をお尋ねする。

(秋原指導理事)
 柔道は指導者の選定に時間を要したことや、まん延防止等重点措置により、実施することが出来なかったが、剣道は10月10日から全8回の活動を実施した。陸上は12月18日に活動を始める計画を立てたが、悪天候やまん延防止等重点措置による中止があり、1回の実施となった。


⑵  教員の働き方改革と地域指導者の確保について

(鴨田)
 次にこの事業の目的として、①中学校教員の働き方改革につながる事業とする。②学校部活動から地域スポーツへとスムーズな移行を図る。ということだった。

 そもそもこの休日部活を地域に移行する取り組みは、教職員の働き方改革から端を発している。教員側の目線に立てばここが一番ポイントだが、①の目的である教職員の働き方改革に繋がる成果があったか。

(秋原指導理事)
 地域運動部活動推進事業の実践研究後のアンケートでは、時間の制約や指導力不足の悩みが解消されたと答えた教員がいたこともあり、働き方改革につながっていると考えている。

(鴨田)
 次に②の目的ついて。やはり大事なのは担い手となる地域指導者の確保。地域の指導者がいなければなりたたない事業である。1年前の質問で、「教師に代わり生徒の指導や大会への引率を担う地域人材の確保を目的」として、人材バンク制度の創出を提案した。そして、実際に総合型スポーツクラブを事務局とした人材バンク制度を創出されたが、地域の指導者確保に資するものとなったのか。取り組まれたなかでの実績と課題をお聞きする。

(秋原指導理事)
 舞鶴市の総合型地域スポーツクラブに人材バンクを設立し、剣道の指導者4名、陸上の指導者10名を登録し、それぞれの活動に指導者を派遣した。課題しては、さらなる指導者の確保と資質向上の研修会が必要であると考えている。

(鴨田)
 研修会が必要との答弁だったが、令和4年度に向けてどのように改革されていく予定か。

(秋原指導理事)
 令和4年度は、あり方検討会議を立ち上げる予定としており、そのなかで、研修会等を実施していきたいと考えている。


⑶  生徒にとっての地域部活の成果について

(鴨田)
 生徒にとっても負担感がなく、魅力ある活動としなければならない。希望する生徒が気軽に参加できるようにすること、普段指導していただいている教員以外の指導員に教えていただくことは、子ども達にとっても刺激があるだろうし、競技力の向上、つまり大会等で優秀な成績を残すことにも繋がっていく。そのように期待していた。

 そこで、各競技について生徒が参加しやすい状況にあったか、大会等での成績は向上したか、また競技者人口の増加に繋がったか。併せて生徒にとってどう映ったか。生徒側からの感想をお聞か願う。

(秋原指導理事)
 競技への参加については、参加費を無料とし、活動場所を西舞鶴地域と東舞鶴地域とを交互にすることで、参加しやすい環境づくりに努めた。
大会での成績については、剣道において、舞鶴市の生徒たちが京都府中学校秋季選抜剣道大会で活躍し、その中の一人が3位入賞を果たしている。

 剣道の地域部活動では、舞鶴市剣道連盟と協力し、連盟に所属する小学生も積極的に参加することで、中学校での目標をもつなど、部員数の確保につながっていくものと考えている。また、地域部活動で剣道を始めた小学生も複数おり、競技人口の増加にもつながっていくものと認識している。

 地域部活動に参加した中学生からは、自校の活動だけでは出来なかった練習や、新しい仲間との練習により得られた充実感を述べており、活動後のアンケートでは、多くの生徒が大変満足していると回答している。

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⑷  教育委員会の枠組を越えた行政の連携について

(鴨田)
 今伺ってきたことも踏まえて、今度どうしていくか提案を含めて質問する。まずは指導者の確保の課題について。とにかく中学校部活動と地域スポーツとが密に協力できる体制をいかにして構築するかが今後のポイントだと思う。現在、官民で組織されている会議体では弱いと感じている。更に拡大する必要があると思うがいかがか。

(秋原指導理事)
 本年度の地域運動部活動推進事業の実施にあたっては、舞鶴市スポーツ協会や中学校長会、地域総合型スポーツクラブの代表者による組織を設立している。

 来年度には、参加メンバーを拡大するとともに会議の実施回数も増やし、実践研究についての議論だけでなく、令和5年度から実施される段階的な部活動の地域移行について、さらに検討を進めてまいりたいと考える。

(鴨田)
 行政組織についても、現状、教育委員会が主幹となっているが、スポーツのプロではない教育委員会、何より教職員の働き方改革を進める教育委員会が地域部活に大変な労力を費やしている矛盾を感じる。やはりスポーツや地域を所管する課など、市長部局と連携が必須で、具体的には市役所内に横断組織を設置する。その本気度を見せていただきたいと思うが、いかがか。

(秋原指導理事)
 現在、教育委員会が中心となりスポーツ振興課と連携しながら、部活動の地域移行の体制作りを試験的に進めている。今後も必要に応じて関係課と連携し、取り組んでまいりたいと考えている。

⑸  スポーツ産業の創出と持続可能な部活動との連携について

(鴨田)
 次に産業振興の視点でお尋ねする。そもそも、日本においては、地域スポーツクラブを無償ボランティア頼みとすることが多いが、ボランティア精神が持続可能かと言われれば大きな疑問が残る。

 国おいては経済産業省がサービス業としての「地域スポーツクラブ」の可能性を考える提言書を取りまとめている。要は地域スポーツクラブに「新しいサービス業」としての価値を生み出し、課題となっている学校部活動とリンクさせ、スポーツ産業の創出と持続可能な部活動を構築していこうとする内容。

 本市にもスポーツクラブが点在している。民間のスポーツクラブの振興と教職員の負担軽減、生徒にとっても可能性を秘めていると考えるが産業振興の視点で見解をお聞きする。

(藤崎市民環境部長)
 国が提言するサービス業としての地域スポーツクラブの創出については、実現に向けては国レベルの大きな社会システムの転換が必要であることから、今後とも国の動向等を注視してまいりたいと考えている。

(鴨田)
 地域部活について今後は団体種目への導入を実施されると思うが、個人競技に比べると団体競技はハードルが高いように思う。

 例えばサッカー。小学生を対象としているクラブは市内で充実しているが、舞鶴市の7中学校にサッカー部はない。だから中学校進学を機にサッカーをやめる子が多いと聞いている。バトミントンも一緒。地域スポーツクラブが産業として成り立つなら、こうした子ども達の受け皿にもなると考える。

 また専門競技だけではなく、練習前の準備運動、体力作り、練習後のアフターケアなどは全競技に共通している。こられの必要性について認識を問う。

(秋原指導理事)
 令和4年度の地域運動部活動推進事業の実践研究では、地域のスポーツトレーナーによる、基礎トレーニングや体の使い方を学ぶ「基礎部活」の実施を計画しており、専門競技だけでなく、体を動かす楽しさや心地よさを味わい体力を高めることができる取組を実践したいと考えている。

(鴨田)
 次年度に計画するとの前向きな答弁で、必要性を認識されていると理解した。その中で、先の産業振興の視点に戻るが、一足飛びには行かないけれども、先を見据えれば、民間スポーツジムなどとの提携も考えられる。改めて民間のとの連携についてお聞きする。

(秋原指導理事)
 今後、学校部活動が地域に移行していく中で、中学生がトレーニングジムなどを使用したいという機運が高まることは考えられるが、今の実践研修の2年間の現段階で民間のジムと連携を行うことは考えていない。しかし先程も申し上げた、在り方検討委員会のなかで、民間との連携について考えていけるようにしたいと思っている。

(鴨田)
 本市は全国でも数少ないモデル地域として、全国に向けて失敗も成功も発信していかなければいけない。今は学校の一部の先生、一部の指導者が一生懸命やっているけれども、もっと全体を巻き込んで、舞鶴全体に意識を持つよう仕掛けていただき、次年度のモデル事業に期待して質問を終わる。

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