HPVワクチンへの市の認識や、キャッチアップ接種や男性への接種に係る公的助成について

こんにんは。舞鶴市議会議員の鴨田です。

12月定例会でおこなった一般質問について、前回は「近未来のまちづくりビジョン」について書きましたが
今回は「HPVワクチンの積極的勧奨について」について書きます。

質問要旨は以下の通りです。

2  HPVワクチンの積極的勧奨について
      ⑴  ワクチンに係る本市の見解と接種率について 
  ⑵  国による積極的勧奨が再開されることについて
    ⑶  接種機会を逃した女性の無償接種について
    ⑷  定期接種対象外の接種に係る助成について

⑴  ワクチンに係る本市の見解と接種率について

(鴨田)
日本では毎年、約1万1千人の女性が子宮頸がんになり、約2,800人の女性が命を失っている。また30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう女性も毎年約1,200人いる。近年この病気の発症は20~30代の女性に増えてきており、幼い子どもを残して亡くなるため、「マザーキラー」の異名がつけられている。そのような悲しい事象を防ぐため、舞鶴市では現在2年に1回、子宮頸がん検診を20歳から74歳までの女性に案内。検診により早期のうちに発見し、治療を行えるようにしている。

その前段の第一次予防として期待されているのがHPVワクチンである。子宮頸がんの原因のほとんどはHPVの感染と言われており、感染を予防する国内で承認されているワクチンは3種類あり、うち2種類が平成25年4月1日から予防接種法に基づく定期接種となり、自己負担なしで受けられるようになった。

しかし有害事象の報告が相次ぎ、同年6月から厚生労働省は積極的な接種勧奨を中止。
以後8年以上、接種できるものの接種券が配布されない定期接種ワクチンとなっている。
市では国の方針に沿ってワクチン接種に慎重な態度をとっていると理解するが、HPVワクチンに係る本市の見解をお尋ねする。

(田中健康・こども部長)
予防接種法で定める定期接種については、伝染の恐れがある疾病の発生及びまん延を予防するために公衆衛生の見地から予防接種の実施、副反応に関することや、健康被害の救済制度等を講じる責務が全て国にあるため、市町村はそれを遵守すべきものとされている。

これを踏まえ、市では具体的な対応として、初めて接種対象年齢となる中学1年生に対して、接種の効果と接種後に多様な症状で苦しんでおられる方が存在する等の情報をお伝えした上で接種の判断をしていただくよう、ホームページや個人通知による情報提供を行い、必要時には健康診断にも対応しながら希望者が定期接種を受けられる体制を確保してきた。

更に令和3年度には接種についての検討や判断ができるよう、ワクチンの効果とリスクについて国が本人と保護者向けに作成したリーフレットを同封し、個人通知による情報提供を継続している。

(鴨田)
積極勧奨していない期間、本市での接種率はどれくらいだったのか。

(田中健康・こども部長)
積極的勧奨を差し控えた初年度となる平成25年度は対象件数5,247件のうち174件、その率は3.3%であり、翌平成26年度が0.6%、それ以降は令和元年度まで0.2~0.4%の範囲内で推移してきた。その後、令和2年度では1.1%、令和3年度では11月末現在で前年度を超える1.3%となっている。

(2)国による積極的勧奨が再開されることについて

(鴨田)
近年では、HPVワクチンの安全性や有効性についての論文も増え、それらの情報をホームページに掲載したり、接種券を配布して接種率を向上させている自治体もあり、住んでいる地域によって接種率のばらつきがでている。また、令和3年11月12日に厚労省の専門部会が8年振りにワクチン接種の積極的な勧奨を再開することを決定し、同26日に今後の対応について自治体に通知が出された。
HPVワクチン接種の推進や啓発を訴える超党派の地方議員からはじまったHPVワクチン接種推進自治体議員連盟は、超党派の国会議員も集まり、現在140名で構成されており、私自身も会員として名を連ねているが、1日も早い積極的勧奨再開を求めるとともに、定期接種であるにもかかわらず接種機会を失った女性に対するキャッチアップ接種を同時に開始すること、予防接種実施の責務を負う、基礎自治体に対してその財源が確保できるよう財政措置を求めていく活動を全国的に展開する予定である。

そこでお尋ねするが、国の積極的勧奨が再開されるにあたり、市では、HPVワクチンの積極勧奨をどう捉えているか。また、今までのHPVワクチンをめぐる経過について、市としての見解をお聞きする。

(田中健康・こども部長)
国による積極的勧奨が再開されることについては、令和3年11月26日付け厚生労働省健康局長からの通知において、最新の知見を踏まえ、改めてHPVワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められた旨の報告がされた。

また、その通知において、引き続きワクチンの安全性の評価を行い、ワクチンの情報提供を充実させていくことなどの今後の対応の方向性を踏まえ、基本的に令和4年4月からHPVワクチンの積極的勧奨を実施することが示された。
これを受けて、今後、本市では、医師会や協力医療機関等と調整を行い、適切にワクチン接種が実施できる体制整備を図っていきたいと考えている。

(3)接種機会を逃した女性の無償接種について

(鴨田)
国が平成25年6月から積極的勧奨を中止していたことにより、日本での接種率は大幅に減り、それまで7割程度だった接種率が1%未満まで減っている。2000~2004年生まれの女性はすでに定期接種の機会を喪失しており、接種をしなかったことにより、約17,000人が防げたはずの子宮頸がんに罹患(りかん)し、約4,000人が死亡すると推定されている。
国はワクチンの積極的勧奨再開と併せて、この間に接種機会を逃した人たちを公費接種の対象とする議論をしている。現在は国によるHPVワクチン接種対象者は小6~高校1年生までの女性となっており、市では中学1年生~高校1年生相当の女子が全額公費負担の対象となっている。対象を過ぎてから受けると3回分の接種で約5万円程度の自費負担といわれていて、非常に高額だ。どの年齢までを対象とするか。国の動向を見ながらの判断になっていくと思うが、接種機会を逃した女性の無償接種について市の考えを尋ねる。

(田中健康・こども部長)
接種機会を逃した女性の無償接種についてであるが、この8年間にワクチン接種をせずに定期接種の対象年齢を超えた女性は、本市では約2,000人程度となっている。現在、国において公費による接種機会の提供等に向けて、その対象者や期間等について議論されており、今後、国が示す要件に応じて適切に対応してまいりたい。

(4)定期接種対象外の接種にかかる助成について

(鴨田)
HPVワクチンの定期接種の対象者は、一定の年齢の女子となっており、公費負担となるワクチンの種類は2価、4価ワクチンの2種類となっている。HPVは性的接触により感染することから、男性もワクチンを接種して感染予防に努めることで、HPVに対する集団免疫の獲得が期待できる。また4価ワクチンには、男性の中咽頭(ちゅういんとう)がんの等の予防にも効果があるといわれており、アメリカ、イギリスなど約40カ国では、男性のワクチン接種にも公費助成をしている。

日本では、男性は定期接種の対象ではないことから自費での接種となり、高額な費用がかかっている。男性自身を病気から守るためにも、大切なパートナーを守るためにも、HPVワクチンを男性が接種することには意義があり、男性も公費助成の対象となることで、接種希望者が増えるのではないかと期待するところだが、市の考えを尋ねる。

また、国の承認を受けている9価ワクチンがあり、9種類の子宮頸がんに関連する HPVの型に効果がある。これにより9割以上の子宮頸がんの原因となるHPVへ効果を発揮すると言われているが、定期接種対象ではないため、9価ワクチンを希望する場合は全額自費負担をしなければならない。2価・4価と同様に、9価ワクチンの公費助成を全額、または一部でも市が助成する考えはないか。

(田中健康・こども部長)
定期接種対象外の接種にかかる助成について、現在、感染予防の観点から男性のワクチン接種に対する公費助成や、9価ワクチンへの対応についても国で審議されているところであり、国の動向を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えている。

いずれにしても市としては、子宮頸がんの発生を予防するため対象者やその保護者に対してワクチンの有効性やリスク等、正しい情報をお伝えするとともに、早期発見に有効である子宮頸がん検診についても、20歳以上の女性に2年に1度、個人通知により積極的勧奨を実施しているところであり、ワクチン接種だけでなく検診との両面で予防対策に努めていく。

(鴨田)
縷々聞かせていただいた。ワクチン接種の再開時期について、先程答弁があったが、国から自治体に通知された内容には、令和4年4月からHPVワクチンの積極的勧奨を実施することが示されているが、準備が出来次第、4月を待たず接種を行える旨も示されている。一日でも早く行っていただくよう要望し、この質問を終わる。