お世話になっております。舞鶴市議会議員の鴨田です。
今回長文の投稿となることをお許しください。
以前お知らせしましたとおり、現在、舞鶴市議会は9月定例会真っただ中です。
今回の定例会では
第80号議案
(舞鶴市廃棄物の減量化及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例制定)
という、市民生活に大きく直結する議案が上程されています。
みなさんもご存じのとおり、現在舞鶴市では可燃ごみは指定袋制による有料、資源ごみは無料で回収・処分しています。
ごみ手数料の条例改正案とは
今回上程されたごみ手数料の条例改正案では、
- 可燃ごみの指定袋の値上げ
- 新たに一部資源ごみの指定袋制による有料化
- 現在無料であるリサイクルプラザや清掃事務所への直接搬入の際に1回あたりで手数料を徴収すること(清掃事務所200円、リサイクルプラザ400円)
以上が主な改正案として明記されています。
ごみ処理に関する私自身の考え
まずここで私の考えを先に申し上げます。
私は以前から複数回に渡りごみ問題について一般質問や常任委員会の場を通じて意見しており、
また舞鶴市廃棄物等減量等推進審議会にも欠かさず傍聴に行っています。
舞鶴市廃棄物減量等推進審議会とは学識経験者や市民の代表の方々が集まり、
ごみ問題について真剣に議論して頂く場であり、多角的な視点で何度も審議を重ねたうえで、
審議会として答申を出された経過があります。
それを踏まえて、舞鶴市として今回の値上げ案が9月2日に上程されました。
確かに可燃ごみの指定袋が値上がりしたり、新たな手数料が発生したりすることは、
「また値上げか」、
「公共施設や上下水道に続きごみまでも」
という感情が芽生えるのは当然のことだと承知しています。
しかしながら、我が国においては、プラスチックごみの廃棄量を人口1 人当たりに換算すると32kg でアメリカに次いで世界2位です。
このことから政府も2030年までに現在 940万トンもあるプラスチックごみを25%減らす計画を発表しています。
現に可燃ごみを有料としている自治体は全国の半数以上、資源ごみについても30%を超える自治体で有料としています。
続いて、舞鶴市の状況を見ますと、残念ながらひとり一日あたりのごみ排出量は全国平均を上回っており、資源化率については、府内15市中14番目、さらに全国平均を大きく下回っている現状です。
※参考 第10回廃棄物減量等推進審議会 資料4ページ目(pdfとして6ページ目)
また、ゴミ処理にかかる経費についてあまり思いを馳せることはないかもしれませんが、現在最終処分場では約14億円を投じて増設工事を行っています。
これも10数年もすれば、また莫大なお金を投じて最終処分場を造らなければなりません。
同様に第一清掃事務所についても約38億円を投じて工事をしています。
つまりごみを捨てる場所に莫大な税金が投入されているわけです。
これを誰が負担していくのか?
持続可能な舞鶴市を、子どもや孫の世代に引き渡す使命が私達大人にはあります。
コストを正確に把握し、今後の見通しを踏まえて、将来世代に現役世代がツケを残さないよう努めなければならないと思うのです。
そういった思いを持っていましたので、私は今回の条例改正案については一定理解を示すもりで9月議会に臨みました。
条例の改正案については、担当課である生活環境課からも事前に丁寧な説明があり、疑問点については、自身が所属する市民文教委員会(9月23日)で納得いくまで質疑し、理解を深めて審議しようと考えておりました。
本会議の市長答弁で明らかになった変更ありきの条例案
しかし、代表質問が行われる本会議(9月14日)において、
本議会に上程された改正案(9月2日)には全く書かれていない、
「直接搬入時の従量制」が市長答弁で示されたのです。
重量計がないため現在採用できないが、(正確に言うと重量計あるが、壊れている)
環境が整ったら回数あたりの手数料は廃止し、重量に応じて手数料を負担するよう制度を変えるということです。
まったくの寝耳に水です。
時期について明言はされませんでしたが、現在上程されている改正案の施行は令和3年7月1日の予定であり、
もし7月までに重量計が整備されればこの改正案は施行前にさらなる改正が必要になることになりますし、
新制度が始まってから重量計が整備されれば、制度が短期間で変更され、
市民生活に大きな混乱が生じることが誰の目にも明らかです。
そもそも、上程された改正案(9月2日)の後(9月14日)に違う内容が公になること自体が、
本当に根拠に基づいた条例改正案なのか?という疑念を抱く要素になってしまいます。
今回市長答弁で明らかにされた内容は、5月22日から実施されていたパブリックコメントなどでも
「手数料の二重取りだ」と批判された内容を踏まえての改善案であるとは思いますが、
そうであるならばそれらを踏まえた上で本条例改正案に盛り込むのが筋だったはずです。
それをしないままに、いずれ従量制にするから、とりあえずこの改正案を通してほしいと言われても私は納得がいきませんし、市民の皆さんに説明出来ません。
委員会で明らかになったサービス向上についての疑念
このような経過のもと、この条例改正案の細かい内容等について具体的に審議する市民文教委員会が9月23日に行われました。
委員会の中で判明したのは、主に以下のことでした。
- 立ち番の任意化については、条例案が市議会で可決された後に、具体化していく。
- 従量制に移行する時は、改めて条例改正をお願いする。
- 公共施設拠点回収ボックスは条例施行と同時に廃止する。
そもそも値上げする以上、市民サービスの向上もセットであるべきというのが私の考えでした。
令和元年11月26日に舞鶴市廃棄物減量等推進審議会から市に対して提出された、
一般廃棄物(ごみ)処理手数料の見直しについての中間答申にもありますように、
プラスチック容器包装類やペットボトルは月2回収集とすること、
各自治会にお願いしている立ち番の任意化などがしっかりと制度設計された上で、
今回の値上げを実施すべきという思いからです。
しかし、実際に具体的な制度設計はこれからで、立ち番の任意化などは確定とは言えないようでした。
これではただ一方的に値上げ並びに有料化し、市民サービスの向上が担保されていません。
ごみ減量審議会で、あれだけ丁寧に審議委員の方々に議論をしていただいているにも関わらず、
なぜこの重要な改正案提案の時点でそれが固まっていないのかという点についても、疑問が生じました。
これらの内容については改正案の中に出てくることではないため
(施行規則で定めることができる)
いくらでも方針変更することが可能です。
このような不確定な状況では、審議の尽くしようがありません。
この委員会での様子は、9月24日の毎日新聞(有料記事です)でも掲載されたので、
ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
以上のことから、この議案については委員会で反対しました。
(次回に続きます)